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それは、ワットポー方面に観光に出かけた時のことです。ホテルで旅行雑誌を広げてルートを確認。アソークで地下鉄に乗り換えて終点(当時)のフアランポンで降りようと決めました。フアランポンの駅員さんに「ワットポーへは歩いて行ける?」と聞いたら、「それは遠い。タクシーに乗りなさい」との返答。地上への階段を上がりながら駅員さんの言うことを無視して歩いていくことに。まっすぐに伸びた道の両側には、台所のステンレス製のシンクやトイレの便器を売っている店が立ち並んでいました。しばらくして、「ハロー。旅行者か?」と青年に声をかけられました。「そうです」と答えると、「どこへ行くんだ?」「ワットポー」「俺と同じだ。一緒に行こう」となり一緒に歩き始めた直後、後ろから「ハロー」とまた声をかけられました。振り返るとおばさんで、「俺の母親だ」と。私はその母親となぞの握手を交わし、3人で歩き始めました。後ろから来たタクシーを青年がつかまえ、後部座席に私と青年、助手席に母親。目的地まで母親は終始無言、私と青年は雑談。なんでも彼はクアラルンプールから来たらしく、旅行中とのこと。10分ほどで青年が指定した場所に着いたのですが、どうみても観光地ではなく、ただの路地裏の駐車場でしたが、少し歩くと広い川が現れました。一見ただの岸壁で船の姿は見えませんでしたが、真下を見たらタテに細長いボートが。「これに乗れ」というので、飛び降りるような感じで乗船。船には3人+最後尾で操縦するおじさん。茶色に濁った明らかにキレイじゃない川のしぶきを全身で浴びながら「ずいぶん豪快だな」とのんきなことを考えていたような気がします。おもむろに青年が「俺達は宗教が違うからワットポーの建物に入れない。だからこの船からお祈りをする。ほらあれがワットポーだ。お前もお祈りをしろ」というので、3人でなぞのお祈りが始まりました。お祈りも終わり、再び疾走する船。他の船ともすれ違いましたが、どの船も観光客で満席。・・・そして、広い川の真ん中でエンジンが止まり、青年が、「この船は50人乗りだからお前が50人分払え。5000バーツだ」と。この時点ですでに気が動転していましたが、どこかで「まだ騙されてない」と思う自分もいたり。サイフを取り出し中身を見たら、1000バーツ札1枚と100バーツ札数枚、あと1万円札1枚。青年に中身を示し、「これしかない」と言ったら、「この札(1万円札)は何バーツだ?」というので、「3000くらいかな」と言ったら、「じゃあ1000バーツとこの札(1万円札)をもらう」とのことで交渉成立。「ちょっと足りなくてゴメン」となぞの謝罪をして、最後に青年と母親と握手。コトも終わり、船は出発した場所とは違う場所に接岸。一人では上がれないほどの高さがあったので、近づいてきた男に手を引っ張ってもらい地上へ。男に「200バーツよこせ」と言われすんなりお支払い。通りに出ると観光客がたくさんいました。現在地がまったくわからなかったのでしばらくウロウロ。たまたまやってきたタクシーを止め、助手席の窓から「フアランポンステーション!!」と絶叫し、乗り込んだ。動悸がすごかったことを覚えています。しばらくしてドライバーが「着いたぞ」というので車内から外を見たら、なぜか日本のブルートレインのような客車の列車が。「フアランポンは地下鉄だろ!地上に駅はないだろ!」と文句を言ったら、「いやフアランポンだけど・・・」と困惑している。こりゃダメだと思い料金を支払っていかり肩で歩いていたら、地下へ行く階段が登場。フアランポン駅は、地下鉄と、長距離列車の始発駅でもありました。ドライバーさんごめんなさい。ギリギリ地下鉄の運賃を支払
い、無事(?)ホテルに帰還。異常なまでに気を張り詰めていたからか、直後に吐いてしまいました。当時を振り返ると、生きている喜びを実感します。

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ホントにワットポーだったのかな?

 

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青年の画像の一部を編集しました